2020年4月から小学校、2021年4月から中学校で「プログラミング教育」が必修化されました。
義務教育で、なぜ「プログラミング教育」が必要になったのでしょうか。

「プログラミング教育」が必修化された理由は?

学習指導要領改訂に向けた中央教育審議会の議論で初めて「プログラミング教育」の必修化が検討されました。

現在、社会全体のデジタル化が進んだ結果、仕事の9割が基本的なITスキルを必要としていると言われています。
AIなどの新技術が発展していく中、10年先の未来がどうなっているのかも予測が困難です。

そんな時代の子どもたちに最適な教育とは何か?と考えたとき、パソコン(コンピュータ)の仕組みを理解し、活用する力が必要だという結論に至りました。
幼少期からITスキルを育むことで新しい時代に対応し、裾野を広げる必要があるとの考えから、小学校でもプログラミング教育が必修化されたのです。

IT人材が不足するという予想

2019年3月に経済産業省が「IT人材需給に関する調査」という報告書を出しています。
「IT人材」とは、この報告書において以下のように定義されています。

情報サービス・ソフトウェア企業(Web企業等を含む)においてITサービスやソフトウェア等の提供を担う人材に加えて、IT を活用するユーザー企業の情報システム部門の人材、ユーザー企業の情報システム部門以外の事業部門においてITを高度に活用する人材、さらにはITを利用する一般ユーザー

IT人材需給に関する調査


それによると、日本では2030年に最大80万人、最小でも16万人のIT人材が不足すると予想されています。2030年前後は今の小中学生が就職する時期にも重なっています。
新型コロナウイルスの流行により、Web会議等IT技術の活用を余儀なくされた企業も多く、IT人材の需要は予想より早く高まったと言えるでしょう。

「プログラミング教育」は何をするの?

「プログラミング教育」と聞いてもイメージしづらいと思います。

みんながプログラマーやITエンジニアを目指すということ?

と思われるかもしれません。

しかし、文科省はプログラミング教育が必修化されるにあたり、特に小学校においては「プログラミング言語を覚えることが目的ではない」としています。

「小学校段階におけるプログラミング教育は、児童がプログラミング言語を覚えたり、 プログラミングの技能を習得したりすることをねらいとするものではありません。」

文部科学省 小学校プログラミング教育の手引(第三版)

プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)

プログラミング教育を必修化することは、単にパソコン(コンピュータ)を使いこなすスキルを身につけることだけではなく、最重要なのが「プログラミング的思考」を育むということです。

「プログラミング的思考」について、文科省のサイトには

子供たちが、情報技術を効果的に活用しながら、論理的・創造的に思考し課題を発見・解決していくためには、コンピュータの働きを理解しながら、それが自らの問題解決にどのように活用できるかをイメージし、意図する処理がどのようにすればコンピュータに伝えられるか、さらに、コンピュータを介してどのように現実世界に働きかけることができるのかを考えることが重要になる。
そのためには、自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力が必要になる。

小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)

と書いてあります。難しいですが

「順序立てて考える力、試行錯誤しながら問題を解決していく力」

を育んでいくことが必要と考えているということです。
これは、将来どのような職業に就くとしても普遍的に求められる能力と考えられています。

子どもたちはプログラミング教育を受けることで、プログラミング的思考を身につけ、将来に役立つ能力を身につけることが期待できます。

今までの学校教育との違い

「プログラミング的思考」を育むということは「問題を解決していく力」を育むことであると説明しましたが、これは今までの学校教育に多く見られたように

「問題には正解があり、それを覚える」

ではなく、

「問題を解決するために試行錯誤する」

という過程を重要視することになります。
また、どの教科でプログラミング教育を行うかも学校によって異なるため、テストで何点取れたか、という基準で習熟度を判断するのは困難です。

親はどう見守る?

「プログラミング教育」には明確な「正解」が存在していない分、子どもが学習するうえで悩むことも多いと思いますが、親としてはどう見守るべきでしょうか。

1.先に答えを教えない

「考える」過程が最重要なので、先回りして答えを教えるのは良くありません。
時間がかかっても、自力で解いて成功するという経験が必要です。

2.間違えても否定しない

1.にもつながることですが、自力で解いた答えが間違えていたとしても、やり方を否定すると、考えるよりも正解を求めるようになってしまいます。
「上手くいかない、何故だろう」
と思い試行錯誤することが何より大切なのです。

3.話を聞いてあげる

自分で上手く答えが導き出せず悩む子どももいると思います。
その時は話を聞いてあげましょう。話すだけで整理ができて答えが見えてくることは、大人にもよくあることです。わからないことを相談することも、能力を育むポイントになります。

おわりに

義務教育でプログラミングが必修化になった背景や、親御さんがどのように見守るべきかについて解説しました。いかがでしたか?

「プログラミング教育」はプログラミングを習得することとは異なりますが、 プログラミング教室などでプログラミングそのものを学習する時も、試行錯誤することにより「プログラミング的思考 」を育むことが可能です。

子どもが将来どのような職業に就くとしても、選択の幅を広げるためにプログラミングを学ぶことは無駄にはならないでしょう。