子どもにゲームはNG?今一度考えてみましょう

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お子様は普段ゲームをされていますか?

2019年には「ポケットモンスター」の最新作が発売されたり、「リングフィットアドベンチャー」というフィットネスソフトがヒットして品薄になったりと、ゲームの話題は事欠きません。
お子様のコミュニティーでも、ゲームの話題は欠かせない要素になっているのではないでしょうか。

ここで気になるのは
「ゲームは子どもに悪い影響を与えるのではないか?」
ということです。

「子どもがゲームをやりたがるけど不安で……」
と言う方もいらっしゃると思います。
今は学校が休校になっていて、外にもあまり遊びにいけないのでなおさらですよね。

そこで今回は、「子どもとゲームの関係」についてお話します。

なお、今回のゲームの範囲は
「テレビゲームまたはPC、タブレットなどで行う電子的なゲーム」
と定義し、デュエルマスターズなどのカードゲームやアナログのゲームについては除外します。

ゲームは子どもに悪影響を与える?

「ゲームが子どもに与える悪影響」
と考えたとき、何を思い浮かべますか?

(1)ゲームばかりして勉強しなくなる
(2)ゲーム依存症になったら怖い

このあたりが思いつくのではないでしょうか。
それでは、これらについて考えていきたいと思います。

前提:因果関係と相関関係

さて、今回のお話をするうえで前提になる、因果関係と相関関係について解説します。
ちょっと本題からそれたように見えるかもしれませんが、後の説明に関わってきますので少々お付き合いください。

相関関係

「相関関係」とは、以下のことを指します。

一方が他方との関係を離れては意味をなさないようなものの間の関係。

因果関係

一方で、「因果関係」とは以下のことを指します。

ある出来事が別の出来事を直接的に引き起こす関係。

「雨が降ると来客数が減る」というのは、飲食店ではよくある話です。
「雨が降る」ことで外出する人が減る、つまり外食に行く人が減るから発生することです。
このように、「雨量の増加」「来客数の減少」を直接引き起こしているケース、これが「因果関係がある」と言えるのです。

データのからくり

さて、上記を踏まえた上で、惑わされがちなデータのからくりについて説明します。

「成績の良い子どもほど、親の年収が高い傾向にある」

という話を聞いたことがありませんか?
これは実際、国立教育政策研究所の調査結果として報告されています。
https://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/hogosya_chousa.html

この場合、 「親の年収」「子どもの成績」 には「相関関係」があります。
しかし、これに「因果関係」があると言うためには
「親の年収が上がったら、子どもの成績が上がった」
「親の年収が下がったら、子どもの成績が下がった」
が成立しなければなりません。

実際はそうとは限らないということは、ご存じかと思います。
もちろん、お金があれば子どもの学習環境は良くなるでしょう。
一方で、経済的事情から小学校から高校まで公立で塾にも行かず東京大学に入学した人、という話もあります。
つまり、上記のケースは
「子どもの成績が親の年収に左右されるとは限らない」
つまり、「因果関係」は成立しないということです。

実は、世の中にはこの「相関関係」をあたかも「因果関係」と見せかけるデータのからくりがたくさんあります。

「犯罪者の98%がパンを食べていた」

と聞いて、「それならパンは食べないようにしないと!」とはならないはずです。
でも、実際はそれと大差ない内容に踊らされてしまうこともある、ということです。

(1) ゲームばかりして勉強しなくなる

さて、本題に戻ります。
「うちの子はゲームばかりしていて、勉強しない」
という愚痴は、親御さんの定番ですね。
これは
「ゲームをしなければ、その分勉強する時間が取れるはず」
という予想に基づいたことだと思います。

でも、果たして本当にそうなのでしょうか。

「ゲーム」と「勉強」の因果関係

1日の時間が限られている以上、「ゲーム」と「勉強」には相関関係はあります。
しかし、「ゲーム」と「勉強」に因果関係があるのであれば
「ゲームの時間を増やすと、勉強時間が減る」
「ゲームの時間を減らすと、勉強時間が増える」
が成立しなければなりません。

こちらは「教育経済学」という書籍に調査結果が出ています。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4799316850/souta609-22/
(元データは「21世紀出生児縦断調査」)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa08/21seiki/1380892.htm

1時間ゲームをやめさせた場合、勉強時間は確かに増えました。
ただし、男子は最大1.86分、女子は最大2.70分です。
「因果関係がない」とは言い切れませんが、期待した効果が出ていないことは明らかです。

ゲームを禁止された子どもは何をするか?

それでは、ゲームを禁止された場合、子どもは何をすると思いますか?
ずばり「ゲーム以外の娯楽」です。
テレビ、マンガ、SNS、動画サイト 等々……子どもの娯楽はたくさんあります。
仮にそのすべてを取り上げても、
「ノートに定規で幾何学模様を描く」
というような、勉強道具を使った暇つぶしをされたらどうしようもありません。

つまり、子どもは
「勉強をしたいけどゲームをやりたいからしない」
のではなく、単純に
「勉強したくないからしない」
だけなのです。

ご自身が子どもだった頃のことを思い出してみてください。
勉強しなければならないのに、他のことに逃避したことはありませんでしたか?
恐らく、身に覚えがあると思います。

つまり、ゲームは「逃避」のためのツールのひとつ、という位置づけに過ぎないということなのです。

(2)ゲーム依存症になったら怖い

「依存症」は恐ろしいものとして認識されていると思います。
アルコール、ギャンブル、薬物等々、その人や周囲に多大な悪影響を及ぼします。
ゲームもまた、近年依存症の問題が表面化してきているコンテンツです。

「ゲーム」と「依存」の因果関係

1年前、世界保健機関(WHO)は ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定しました。
その際「ゲームと依存の因果関係を証明するのは難しく、疾病認定は時期尚早」との慎重論との意見もあったそうですが、結果的に認定されています。

詳しくは日経新聞のサイトで見ることができます。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45280950V20C19A5MM8000/

つまり「因果関係は確定していないが、ゲーム障害(依存)は国際的に疾病として認定された」ということです。

「依存」は何故起こるか

さて、ゲームに限らず「依存症」になることは当然避けたいと思います。
避けるためには、まず「依存」のことを知らなければなりません。

いずれの「依存症」も「そこで得られる一時的な快楽」から逃れられない状態になるのですが、原因としては大きく3つの側面があります。

心理

“強い不安や孤独感を解消するため”に依存しはじめ、それがエスカレートしていきます。
依存症は「孤独の病気」と呼ばれることもあるのです。

社会

身近に依存する大人がいた、ということが刷り込みになることもあります。
パチンコ、アルコールだけでなく、普段の生活環境(CMや近所に店があるなど)でも影響することがあります。

生物(身体的要素)

身体的には、以下のプロセスで依存症の状態になると言われています。

物質や行為によってドーパミンが発生する
⇒もっとドーパミンを欲してやり続ける
⇒繰り返すうちに脳が刺激に慣れ、自己コントロールを失う。

このように見ていくと、誰にでも依存症になるリスクがあるということがわかります。
ちょっとしたきっかけが原因であることが多く、自分の力ではやめることができないのです。

そして、これは「ゲーム」に限ったことではありません。
SNS、動画サイトへの依存も「インターネット依存症」として国際疾病にこそ認定されていませんが、日本では社会問題となっています。

つまり、ゲームに限らず「何かに依存しない」ことが重要なのです。

ゲームと上手く付き合っていくには?

「ゲームの悪影響」について、
「ゲームそのものではなく、逃避や依存のツールとして使われることが問題」
ということを述べてきました。

それでは、ゲームと上手く付き合っていくにはどうすればいいのでしょうか?

(1)子どもと向き合う

「逃避」「依存」に走る子どもは、 勉強でつまずいてしまった、人間関係が上手く行っていないなどの悩みを抱えていることが多いです。
きちんとコミュニケーションを取って、子どもから自発的に会話ができる環境を作りましょう。
すぐに悩みを相談するとは限りませんが、話をするだけでも効果はあります。

(2)面白いことを一緒に見つける

ゲームよりも面白いことがあれば、子どもはゲームをする時間が減っていきます。
興味を持ちそうなことを教えたり、一緒に見つけたりすると良いでしょう。
最終的に勉強に興味を持たせたいところですが、いきなりは難しいところがあります。

でも、「プログラミング」であれば、ゲームの延長線上で興味を持ってもらえるかもしれません。
自分が動かしているキャラクターが、どのように動くのかを理解することができるからです。

みらいごとラボでは、マインクラフトというゲームを使用した「マイクラプログラミングコース」を用意しています。
プログラミング教育が必修化されることもありますし、こういう習い事も面白いことを見つけるきっかけになるかもしれません。

おわりに

香川県で施行予定の「ネット・ゲーム規制条例」は以下のような内容になっています。

条例の対象は高校生以下の子ども。
1日のゲームやネットの使用時間を平日は60分、休日は90分に制限する他、
夜間の使用についても高校生は午後10時以降、中学生以下は午後9時以降はゲームをさせないよう保護者に求める

この条例については賛否両論となっていますが、「逃避」や「依存」の条件を満たしていなかったとしても、「無制限に」ゲームやインターネットをさせるのはあまり良いとは言えません。
お子様とコミュニケーションを取ったうえで、本人も納得したルールで楽しく遊ぶのが、一番良いのではないでしょうか。