小学校のお子様のいる皆様。
小学生の頃、インターネットはもう身近な存在でしたか?
携帯電話でインターネットに接続できる「iモード」のサービスが開始されたのが1999年2月のこと。まだまだ小学生が使うにはハードルが高かった時代だと思います。
インターネットの技術進歩はとても速く、 それからたった20年の間に様々なインターネットのサービスが登場しました。
その中で最も進化したのがSNSのように個人間のコミュニケーション可能なサービスやYouTubeのような動画配信サービスです。
SNSであれば、学生時代にフィーチャーフォンで前略プロフィールやmixiなどを利用し、コミュニケーションを取っていたことを懐かしく感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、今はスマホで当時のパソコン以上のことができる時代。SNSも、以前のように仲間内だけではなく不特定多数とのコミュニケーションへとシフトしています。
我が子に持たせて本当に大丈夫なのか不安な方に、昨今のインターネットやSNSを取り巻く環境と、スマホとの上手な付き合い方について見ていきましょう。
子供のスマホ所有率は?SNSは使っている?
平成29年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 によると、小学生のインターネット利用率は65.4%で、スマートフォンでのインターネット利用率は23%でした。
だいたい4人に1人はスマホを持っているということになります。
また、SNSそのものの利用率は載っていませんが、インターネットの利用内容で「コミュニケーション」という項目があるので、この中にSNS利用が含まれていると思われます。
小学生は34.3%と低めですが、中学生で70.4%と倍以上に上がっているので、学年が上がるごとに利用率が上がっているものと思われます。
自分の子はやっていなくても、クラスの友達にスマホでSNSをやっている子がいる、という状況だと思って間違いないでしょう。
SNSの怖い話(1)バカッター
若いうちからSNSに触れることは、いいことも悪いこともあります。
ただ、近年では悪いことがクローズアップされることが多いのが現状です。
皆様は「バカッター」という言葉をご存じでしょうか?
2013年頃にインターネット上で流行した言葉で、ネット流行語大賞 2013にノミネートされ、4位になりました。
どんな内容が「バカッター」と呼ばれたのか、一例をご紹介します。
ニュースでも報道されたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
・コンビニのアルバイト店員が店舗のアイスケースに入り撮影した写真をSNSに投稿。本名や学校が晒される事態に。
・オープンしたばかりの飲食チェーンの店の冷蔵庫に入って撮影した写真をSNSに投稿。該当店舗は閉店し、損害賠償の請求も視野に入れているとの発表がされた。
・回転ずしチェーンのアルバイト店員が提供用生魚を一度ゴミ箱に捨てた上で回収し、調理を行うという動画をSNSに投稿。店側は刑事と民事での法的措置を取ると発表。
いずれもSNSを見た第三者から反社会的行動をとがめられ、多くのSNS利用者の目にとまるように拡散され、匿名での発信であったにもかかわらず、本人と店が特定されています。
このように無関係の第三者から非難が集中し、本人の特定をされてしまうことは「炎上」と呼ばれています。
さて、上の例に共通することはなんでしょうか?
そう、
「自分から炎上するネタを全世界に公開してしまった」
ということです。
本人は、仲間内で楽しむために投稿したのでしょう。
行動自体の問題はもちろんありますが、本来は知るはずもなかった、会ったこともない人に個人情報を特定され非難されることは考えていなかったでしょう。
これは、SNSの知識が無かったばかりに自身が招いたことなのです。
SNSの怖い話(2)ストーカー被害
2019年9月、恐ろしい事件が起きました。
アイドル活動をしている女性がSNSに投稿した一枚の写真。
その写真の「瞳に映った景色」から最寄り駅を特定され、ストーカーに家を突き止められ、暴行を受けたのです。
本人はそんなことで自宅を特定されるとは夢にも思わなかったでしょう。
しかし、写真は自分が思っているより多くの情報を持っています。
写真にマンホールが映り込んでいた時、そのマンホールに固有番号が付けられており、写真撮影場所が特定されたケースもあるそうです。電柱だと住所そのものが書いてあることもありますね。
一つ一つは些細なことでも、情報を積み上げていくと特定されてしまうことがあります。
SNSへの気軽な投稿が、思わぬ犯罪行為を呼び寄せることもあるのです。
SNSに触れさせない、スマホを使わせないがベストな解決法?
SNSの怖い話を挙げましたが、こういう話をするとよくこんな意見を聞きます。
「SNSで悪さをさせたくない・巻き込まれたくないから子供にスマホは持たせない」
さて、これは本当に最善策なのでしょうか?
インターネットがここまで普及した背景には
「たくさんの有益な情報を今までのメディアよりもずっと早く得ることができる」
ということがあります。SNSのためだけに禁止するのは、学習機会を奪うことになるかもしれません。
また、周りの友達が使っているものをずっと使わずにいることが難しいのは、ご自身の子供時代を思い出すとわかると思います。
友達のスマホで、SNSに代理で不適切な投稿をしてしまうことがあるかもしれません。
「使い方を間違えると危険だからこそ、正しい使い方を知る」
「親もSNSの使い方を知っておく」
これが重要なのです。
SNS問題の大半は「知らない」ことが原因
「SNSの正しい使い方」というと難しそうですが、そこまで複雑なことではありません。
まず「SNSの仕組みを理解する」ことが大事です。
(1)SNSの投稿内容は全世界に発信されている
インターネットの利点は、全世界で同じ情報にアクセスできることです。
つまり、SNSの投稿は全世界に発信されているということです。
「でもmixiにも公開範囲設定があったけど……?」
と思われるかもしれません。実際、大半のSNSは公開範囲の設定があります。
でも「自分以外の誰か」の目に入る状態は、全世界への発信につながると思ってください。理由は(3)にまとめます。
(2)一度投稿したものは消せない
夜中に書いた手紙を翌朝読み直して、破って捨てたことはありませんか?
SNSでは、手紙を書くより手軽に書き込むことができてしまいます。
前の晩に投稿した内容を翌朝見たら、不適切な内容だったということもあると思います。
残念ながら、これも消せないと思っておいた方がいいです。
「でも、最近LINEに送信取り消し機能が付いたよね……」
確かに送信取り消し機能はつきました。でも、それなら絶対大丈夫というものではありません。
(3)「悪意を持った第三者」が炎上させる
(1)(2)で「全世界に公開される」「投稿したものは消せない」と言ってきた理由は、すべて「悪意を持った第三者」が動いた場合のことです。
・一部の人に限定公開した内容を見られる人が、スクリーンショットを撮り公開
・削除した投稿を、削除される前にスクリーンショットを撮り公開
何も起こらず、目にとまらずに終わることがほとんどですが、見つかってしまう可能性は考えた方がいいです。
親友にだけ公開していたSNS。
その親友と大ゲンカしたとき、別の友達の悪口を言っていた投稿をスクリーンショットされて告げ口された……なんてことは学校生活の延長上でありえる話ですが、先ほど紹介した「バカッター」はこういうレベルから炎上していると思ってください。
ルールで縛るより、理解させる
「人に見られたら困るものは投稿しない」
長々と書いてきましたが、SNS問題はこれに尽きます。
もしも子供がスマホを欲しがったら、まずはSNSを使えないように設定し、ちゃんと理解できた段階で限定的に許可する、というような対処が有効です。
ここで大事なのは「ルールだから守れ」と縛ることではなく、もし間違えたらどんな不都合があるかを理解させることです。
正しい使い方をすれば、インターネットもSNSも、子供の心強い味方になってくれます。